マソリンガンタンで!
なんて使い古されたことをタイトルで言っているんだろう。こいつは痛いやつじゃないか。聞いたことを自分が体験したように話す人っているよね、boketeで同じボケを半年とか微妙な時間を空けて投稿して、星さらっていく人のように。
でもね、本当に「マソリンガンタンで!」言う人居たのよ。
ガソリンスタンドでバイトをしていた。
19歳という高校からも解き放たれ、自分の責任で自由にできる時間を手に入れた時代。
1年だけフリーターでお金をため、学費にあてるという野望をいだき、友人がバイトをしているガソスタへこねで入った。
こねというか楽した。友人いるし。ちわ!ってなもんで。
そこはパラダイスなバイト先だった。
夫婦で経営をしている個人ガソスタ。
お昼(寿司)、おやつ付き。暇なときは洗車したい放題。むだにワックスとかかけたり。蓑虫を観察したり。友人が集めた蓑虫を愛でたり。
バイト先にはあだ名がつけられた至高なお客様がいる。
毎日コンビニで豚まんかってたら「豚」とか。
そのお客様は「レタスのジャグアーのおじさま」と言われていた。
略して「ジャグアー」って。
ジャガーだけどさ、レタスのおじさまはジャクアーって発音するからさ。
あとレタス農家だからレタスのおじ様。二つも通り名があった素晴らしいお客さまだっった。
レタスのジャグアーのおじさまは、ほっかむりをし、農作業着で黒い長靴。
いつもジャグアーの後部座席には、土がついた桑を乗せていた。
レタジャグのおじさまはガソスタにくると決まって
「マソリンガンタンで!」
と言う。やっとタイトルを補完できた。
本当はガソリンじゃなくてハイオクだけど。
そして洗車を頼む。機械の洗車だ。
高級車に乗っている人は機械の洗車には入れない。
人の手で洗車する通称エジプトコースを頼む。(なぜエジプトかと言うと想像した映像が正解です。)
レタスのジャグアーは機械の洗車をしすぎて上の塗装が禿げていた。
あるときレタスのおじさま以外から「マソリンガンタンで!」と言われたことがあった。これはもう、ガソスタで半年語り継がれる歴史的な事実である。
若い男性達数人が今でいう「ウェイウェイ」状態でその言葉を発したのだ!
ガソスタ従業員に衝撃が走った。
「はははお姉さん!マ ソ リ ン ガ ン タ ン で!ひゃーははは」
二度目です。
友人は窓拭き用のタオルに爪を食い込ませている。
誘導していた先輩は手がストーーップの形で止まっている。
隣で接客していたバイト仲間は灰皿に入れる芳香剤を、地面にこぼした。
ウェイウェイを接客した私はあきらかに笑顔が凍りついた。
その言葉はレタスのおじさまだけに許された特権!(飲み会で半年にわたるきめ台詞)
ここで奇跡が!とかないから、つつがなく、触れないように普通に普通に接客をし、ウェイウェイ達を見送った。
見送ったあと、友人が
「蓑虫後ろのワイパーにつけておいた。発車したら落ちちゃったけど」
(飲み会で数年に鉄板の事情)